■2018年の最後はロバート・レッドフォード引退作で〆 | ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY

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THE OLD MAN & THE GUN

●2018年大晦日は、今年ロバート・レッドフォードが自らの俳優引退作として選んだ『THE OLD MAN & THE GUN』。
これで、ロバート・レッドフォードはゴールデン・グローブ賞(ミュージカル/コメディ部門)主演男優賞にノミネートされた。
 

 

 

映画『THE OLD MAN & THE GUN』は、映画『ダーク・クライム』『 ロスト・シティZ』(失われた黄金都市)などの原作者デイヴィッド・グラン(David Grann)が2003年にニューヨーカー誌に寄稿した短編を基に練られた作品で、実在した伝説の銀行強盗で、通称”Forrest Silva『Woody』Tucker”(1920-2004)と呼ばれた男の逃避行に焦点をあてたものだ。
 
主人公は、フォレスト・タッカー70歳。
彼は、15歳で最初に投獄された。しかし、なんと12回以上も刑務所を脱獄した
という。ある時は陸から孤立したサン・クエンティン州立刑務所を手製のカヤッ
クで脱走したという不敵な経験まで持つ強者強盗だった。ところがだ、その彼が70歳にして、大胆不敵な犯行で銀行強盗を重ね、全米の注目を集めた、という。何が評判になったかといえば、その手口。考えられる最も丁寧なやり方で銀行を強奪し、誰にも害を与えずに、逃げおおせていたということらしい。そこに若き刑事ジョン・ハントとジュエルという女性が登場する・・・ここから物語は転がり始めるのだ。
 
ロバート・レッドフォードといえば、映画ファンならほぼ皆さんご存知の通り、基本常に主役を張ったスクリーンのスタアであります。
例えば、映画『明日に向かって撃て』(Butch Cassidy and the Sundance Ki)のような初期の作品から『ピートと秘密の友達』( Pete's Dragon)のような映画の小さな役割にさえも、彼はいつも観客を魅了するカリスマを持っている。そこに彼がいれば、視線は釘付け・・・だ。では、今作はといえば・・・GG賞のノミネートにはなっているものの、彼ほどのスタアの引退作であれば、もっと話題性のあるプロジェクトを選ぶことができたはずなのだ。クライムサスペンスや脇役にも沢山のスターを配した強盗ドラマだってできたはずだ。
しかし、彼はこの作品を選んだのだ。そこが気になるではないか。

映画を愛するレッドフォードが選んだ作品、筋書き、見たいじゃないか。
 
 
犯罪者、強盗フォレスト。
彼は悲しい、彼はユニーク、彼は愛情深い、彼は怒っている・・・
彼は高速道路でピックアップトラックが故障してお手上げ状態になった女性を目にし、修理を手伝うために立ち止まる。おいおい、横をパトカーが走っているじゃないかい!運命の出会いなのか、その女性ジュエル(シシー・スペイセク)と恋に落ち、そして彼もまたジュエルから愛されるのだ、と。
 

 
ジュエルを演じるのは、シシー・スペイセクだが、まさにうってつけのキャスティング。彼女は年を重ねてぐんぐんと魅力的になっている。彼女に老いは、敵ではなく輝きであることが素晴らしい。相手が強盗であることを知った上で、尚もジュエルの深く、繊細で真実で献身的な愛、シシー・スペイセクならではの眼差しではないか。
 
 
 
 
ケイシー・アフレック演じるハント刑事。
彼は、常に刑事として徹底した真面目を持ちながらも、微妙な心理を解き明かす能力に長けているようだ。強盗犯を追い詰め、規律を重んじ法律を遵守する刑事。同時に何故、法を守らない男がいるのか、フォレストの思いを問うのだろう。
映画の中、刑事と犯罪者、二人が向かい合っている場面もあるのだもの。
ケイシー・アフレックは何を演じてもその人物をぐーっと深めていく事の出来る俳優だなぁ。
実在した強盗犯フォレスト・タッカーと彼を追った警官ジョン・ハート、年齢差も環境も違うが、二人の姿も印象的な模様。実際のフォレスト・タッカー、彼は2004年に83歳で亡くなった。レッドフォードは82歳で演じたわけだ。映画の中、レッドフォードの若き日の写真も出てくるね、フォレストの若き日の姿としてだけれど、そこ、でもいいやねぇ。
 
 
ロバート・レッドフォードという俳優を純粋に楽しむという点では本作『THE OLD MAN & THE GUN』は、非常に落ち着きのある映画かもしれない。実際、地味だという見方もされるだろう。はい、そうです、地味です。しかしですよ、映画館に向かい、落ち着いて楽しいひととき、そんな時間を過ごしたいのなら、これはまさにそのためには完璧な映画かもしれないゾ。まだTrailerのみながら、アレキサンダー・ペイン監督の雰囲気が好きな方にも薦めてもいいかな。
 
当方はレッドフォードとは、映画『雨のニューオリンズ』(一応これだけはリアルタイムではないデスよ^^ま、数年後ですが・・・十分ませたガキでスた^^)で出会い、それ以降、それはそれは数々の出演作を楽しませて貰った。
あの映画の「雨に濡れても」の流れる場面の美しかったこと。あの映画の時代背景、女性の活発な生き方に同意できない意気地のない男だと意気消沈し、あの映画のテーマ曲「Out of Africa」が流れるたびに泣けてきそうになったり・・・はい、参りました!降参であります。ロバート・レッドフォード、貴方はなんて素敵なスタアなんだ。
 
 
 
今回、監督は『セインツ -約束の果て-』『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』、レッド・フォードとは『ピートと秘密の友達』で面識もあるデビッド・ローリー。
全米公開は、本年9月28日。既にアメリカでは上映は終了しているが、ランキング等での話題は特別にはなかった。しかし、これは見たい作品。切ないかな、しかし、犯罪者を好きになるってのは・・・見ないとわからない。渋いねーだけでは語れない。アメリカの俳優であり、監督・製作者、映画を愛する男、ロバート・レッドフォードの主役としての〆、なのだ。そりゃ見るに決まっている。
あ、トム・ウェイツも元気だ^^。
 
 
ドアーズのジ・エンド。
『これは終わりだ 美しい友よ これで終わりだ・・・』
冒頭の歌詞を思い出した。
 
監督:David Lowery デヴィッド・ローリー
脚本:David Lowery デヴィッド・ローリー
 
Cast:キャスト
Robert Redford ロバート・レッドフォード
Casey Affleck ケイシー・アフレック
Sissy Spacek シシー・スペイセク
Danny Glover ダニー・グローバー
Tom Waits トム・ウェイツ
Tika Sumpter ティカ・サンプター
Elisabeth Moss エリザベス・モス
Keith Carradine キース・キャラダイン
※映画の出演作80本目の『Buttons』もあるのだが、引退主演作としては『The Old Man & the Gun 』が(79本目)語られている。